火の出るようなブログ2

やっぱり、人は他人を理解しあうことでしか最後は自分自身も救われないと思うのです.

いい加減に生活保護、即不正受給の話題をするのはやめませんか?

ニュースというのは実は用意周到にネタが準備されていて、事の本質はなかなか見えない。

例えば、年金。はじめはマッサージ器やグリーンピアなどの放漫体質が叩かれ、やがてかこの不払い問題が噴出した。政治家はもちろん、芸能人にさえ波及し大問題になった。その後年金は年金記録そのもの消失が取り上げられたが、実はそもそも日本の年金問題はねずみ講のように、加入者が増、経済も順調で資金運営が潤沢で、といったありえないシステムで、すでに破綻しかかっているという物事の本質がやっと報道されるようになった。

 

生活保護の受給者がとうとう206万人を突破した。世帯数ではのべ149世帯。過去最多、戦後の混乱期の数字をとうとう上回ったと言われるが、まだまだその数は少ない。

 

厚労省の発表だと日本の貧困率は16%で約2000万人だと言われている。この貧困率とは年間所得が112万円以下、月にして9万円程度の人のことを指す。この数字は一人世帯の数字で4人世帯だと16万円で計算されるが、これでは生活は苦しい。よく年収100万あれば地球規模では富裕層に入る、などいう人がいるが現実問題日本では暮らしていけないのは誰でもわかる。この2000万人という数字、実はまだまだ実際に生活保護の受給者は少なく、潜在的にはこの貧困率の10倍は実際にはいるのではないか、と言われている。

 

さらに「捕捉率」というのだが、実際は日本で生活保護を受ける資格のある人で実際に生活保護を受給している数字は厚労省の発表では30%程度で、残りの7割の人は本来は生活保護を受給する資格があるのに受給されていない。この捕捉率、英国やドイツ、韓国では8割から9割に対して圧倒的に少ない。ではなぜ彼らは請求しないか、これは重要な問題のひとつだ。仮にこの捕捉率を100%とすれば日本での生活保護受給者は687万人となる。

 

それでもこうした生活保護問題を論じるとすぐに話題にのぼるのは不正受給の問題だ。あの人は生活保護を受けている”くせに”車を乗り回していた、貯金を隠していた、など不正受給の問題がすぐに出てくる。しかし実際には生活保護の不正受給者はわずか0.3%なのだ。0.3%。1000人いて3人。

 

話は捕捉率に戻るが、この捕捉率は数年前までは17%程度だったが、生活保護が近年急増した原因は2つある。ひとつは生活保護が拒否された北九州市の男性がおにぎりが食べたいと餓死した事件が大きく報道され、厚労省の指導で窓口で今まで門前払いされていた申請が受入れられたことと、もうひとつは年越し派遣村報道。この年越し派遣村に関しては読売新聞社生活保護が増えたのは年越し派遣村が元凶と大きく報道したのが記憶に新しい。おい、これ違うだろう?

 

0.3%の不正受給と最後のセーフティネットと言われる生活保護が受けられない人々が70%も入る実態、これは明らかに報道のあり方がおかしい。生活保護の問題になるとすぐに不正受給になるのはおかしくないだろうか?思考停止ではないだろうか?捕捉率がなぜ低いのか、そっちの方が重要ではないだろうか?

 

生活保護は今後も増える。現在のわずか3割の捕捉率を考えれば増えて当然。さらに最低賃金やワーキングプア、年金よりも生活保護の受給金額が高いなど問題は山積みしている。もっと広くの人にこの事実と問題に感心を持ってもらいたいと思う。